こむらがえりと漢方薬

先月、登山の途中で膝の痛みが出たのをきっかけに、膝痛に良いことをいろいろ試しています。その一つ、YouTubeで紹介されていた筋トレを始めました。モモ裏のハムストリングス、腸腰筋、モモ内側の内転筋の三つの「さぼり筋」なるものを鍛えるのですが、いや~途中で足がつるつる…(>_<)指導していた先生によると、その筋肉が弱っていると足がつりやすいとのことですが、いやーどんなけさぼってるねんというほど釣りまくりです(^^;筋トレの効果のほどは、まだ全く分かりませんが、今回はせっかくですので、足のつり=こむら返りについて、中医学的にお伝えしますね~

こむらがえり(足のつり)とは?

こむらがえりは主に夜におこる足のけいれん発作のことで、ふくらはぎの筋肉が一番有名ですが、足から太ももまで、脚のどこにでも起こる可能性があります。最も大きな原因は、ミネラルバランスの乱れです。カルシウムとカリウムは、筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにするはたらきがあり、この2つのミネラルを調整しているのがマグネシウム。とくにマグネシウムの不足が大きな影響を与えると考えられています。

中医学的に考えると、筋肉は五臓の『肝』と関係が深く、また筋肉の栄養となる『血』の状態も足のつりに影響します。日頃からストレスが溜まっていて「肝」に負担がかかっていたり、胃腸のはたらきが低下して「血」が不足気味になると、十分な栄養が筋肉に運ばれず、足がつると考えます。また、冷えなどで血行不良(瘀血)の状態が続くことも、足のつりや痛みの原因になります。

こむらがえりが中高年に起こりやすい理由

こむら返りは、基本的に次の場合に発症しやすいとするされています。

  • ホルモンのバランスが崩れた時
  • 体液のバランスが崩れた時
  • 筋肉を支配する運動神経の興奮が増してしまう時

年齢とともに筋肉量が少ななってくると、循環不全も起こりやすくなります。そうすると、筋肉内の体液のバランスが乱れやすくなり、運動神経も興奮しやすくなることから、こむら返りが発症しやすいと考えられます。中医学的にも、血虚や血瘀が起こりやすい高齢の方は、やはりこむらがえりを起こしやすいと言えますね。

芍薬甘草湯

こむらがえりに有効な漢方薬としては「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」ツムラ68があります。「去杖湯(きょじょうとう)という別名があり、を捨て去ることができる薬という意味です。即効性を期待でき、症状が出たときに使用します。こむら返りなどでは早くて5~6分くらいで効いてきます。足がつりそうなときの予防として飲んでもいいです。こむら返り以外には、痙攣性の腹痛や、肩こり、筋肉痛にも効果があります。

構成生薬

芍薬:けいれんして硬くなった筋肉の緊張をゆるめて痛みを軽減します
甘草
:炎症を抑える作用や鎮痛作用があり、芍薬の作用を補助します。

スポーツ(マラソンなど)や登山で、筋肉の疲労して起こる脚のけいれんにも有効です。足がつるという方は、枕元に置いておくか、または就寝前に服用しておいてください。

こむらがえりの予防法

  • 毎日のストレッチ

こむらがえりの予防にはストレッチが有効です。寝る前や運動前に、ストレッチを行いことが予防につながります。特にハムストリングやふくらはぎといった、脚の後ろ側の筋肉を伸ばす運動が有効です。

  • こまめな水分補給

寝る時にこむらがえりが起こりやすい原因として脱水が考えられています。水分バランスはこむらがえりに大きく影響すると考えられているので、寝る前や運動中は水分補給を心がけましょう。ただし冷たい飲み物は体を冷やしてむくみや足のつりにつながるため、常温か温かいものを飲むようにしましょう。

  • ゆっくりと入浴する

足元が冷えて血管が収縮することで血液の循環が悪くなり、冷えたことによる筋肉の緊張も加わって足がつりやすくなります。ゆっくり入浴をして血行を良くするようにしましょう。

予防におすすめの食べ物

鶏肉・牛肉・魚・大豆製品・酢など、漢方では赤い食材は血を増やし、血流を良くして体を温めるとされています。クコの実・なつめ・赤身のお肉なども積極的に摂るようにすることもおすすめです。また、ミネラル分の多い食材は次の通りです。

  • マグネシウムの多い食べ物: あおさ・わかめ・しらす干し・豆腐・切干大根・五穀米
  • カルシウムの多い食べ物: 小松菜・チンゲンサイ・牛乳・ヨーグルト・チーズ・豆腐
  • カリウムの多い食べ物:切干大根・ドライトマト・小松菜・バナナ・干しマンゴー・干し柿

まとめ

さぼり筋の筋トレは今日で三日目。まだ毎回足がつっていますが、その回数がだんだん減ってきています。ちょっとは筋トレの効果が出てきてるんでしょうか。今回は芍薬甘草湯を飲むほどではないですが、膝がよくなって登山に行くときは、この薬をもって、痛みや疲れに備えたいなと思います。皆さんも、芍薬甘草湯を常備して、つらいこむら返りに役立ててみてくださいね~(^^)/