相談⑦辛~い痔の中医学的ケア

以前、副鼻腔炎のお話をした時のゴルフの先生、最近は鼻の調子は良い様子で、いつもに増して元気いっぱいなご様子^^と思ったら、今日は別のお体の悩みをお聞きしました。その悩みは「痔」。お父様も痔があって、手術をした、ご自身は手術をするほどではないが、いずれ悪化するような気がする。どんなことに気を付ければよいか、というお話でした。痔は性別や年齢を問わず、誰でも患う可能性がある身近な病気です。命に関わるような疾患ではありませんが、痛みや出血のある不快な状態が続くと、日常生活や仕事に支障が出る可能性があります。症状が悪化する前に、早めの対処で改善することが大切です。今日は、痔について、中医学的ケアを中心に伝えしますね~

痔のタイプは大きく分けて、痔核、裂肛、痔(じろう)の3種類があります。

痔核

一般的に「いぼ痔」と呼ばれる痔核は、排便を繰り返す中で、肛門のクッション部分に負担がかかり、イボの様に膨れ上がってしまうものです。できる部位により内痔核外痔核があります。痔の中で最も多く、進行すると鈍痛や出血が起こります。
肛門からいぼが出てくることはない軽症では、生活習慣の改善や症状を改善する薬(座薬や軟こう)で対処可能ですが、肛門から出てきたいぼが戻らなくなってしまった状態にまで進行すると、手術が必要になります。
生活習慣の改善は、いぼ痔の悪化や再発を防止するために大切です。便秘の改善や肛門に負担をかけない生活習慣を心がけましょう。

裂肛

一般的には「切れ痔」として呼ばれるま裂肛は、特に女性に多く、排便時に強い痛みがみられるのが特徴です。便の硬さなどにより肛門の皮膚が切れてしまったもので、ときに出血を伴います。
食事や運動など生活習慣を改善して、便秘を解消することが大切です。また、入浴でウォシュレットで傷口を清潔に保つことや、市販の座薬や軟こうを使って症状を緩和すると良いです。

痔瘻

お尻の皮膚と腸の境目にあるくぼみに便が入り込み、細菌感染を起こして、膿がたまる感染症で、溜まった膿を排出するための管がお尻の中につくられた状態を痔瘻といいます。お尻が腫れて強い痛みがあり、発熱することもあります。膿が溜まる原因はストレスアルコールの過剰摂取による下痢です。
痔瘻は一度発生したら自然に治ることは期待できないため、根本的な治療のために手術が必要です。

中医学から見た痔

中医学では、痔の症状は、体内に溜まった「湿(しつ)」(余分な水分や汚れ)や「」、肛門部の「瘀血(おけつ)」(血行不良)が主な原因と考えます。また、「気血不足」という体が消耗している状態は、なかなか字が治りにくい原因になります。

湿熱(しつねつ)

食事などが原因で体内に「湿(しつ)」(余分な水分や汚れ)や「熱」が溜まると、「脾胃(ひい)」(胃腸)の不調を招いて下痢や便秘を起こしやすくなります。こうした排便の不調が肛門の負担となり、痔の症状につながります。急に起こる痛みや出血、肛門の熱感、腫れなどが特徴です。

養生:日頃から体内に湿や熱を溜めない食生活を心がけることが大切です。暴飲暴食、辛いもの、甘いもの、油っこいものの摂り過ぎなどに気を付けましょう。

おすすめの食材:れんこん、アロエ、ごぼう、たけのこ、枝豆、海草類、卯の花、いちじく、バナナ、はと麦 

瘀血(おけつ)

血行不良も痔の大きな原因になります。肛門部の瘀血を起こす要因となるのは、便秘や下痢、排便時のいきみ、長時間座りっぱなし・立ちっぱなしの状態などです。女性は妊娠や出産で肛門に負担がかかり、痔になってしまうこともおおいです。

養生:血流を良くして、瘀血を改善することが大切です。体を冷やさないようにしましょう。また、適度な運動や湯船に入るといった習慣も大切です。

おすすめの食材:紅花、よもぎ、黒きくらげ、玄米、いわし、なす、納豆、モロヘイヤ、干し柿、サフラン 

気血不足

長期にわたって痔を患っていると、継続的な出血や身体の消耗から、体内の「気」(エネルギー)や「血(けつ)」が不足しがちになります。気血不足の状態では、痔の傷も治りにくく、症状の改善も遅れてしまいます。

養生:日頃から貧血や疲労感などを感じている人は、まず体内の気血を十分に養うことが大切。基本的な体力をしっかり保ち、痔の傷や症状を治す身体の力を養いましょう。

おススメの食材:黒豆、大豆製品、くるみ、松の実、ぶどう、じゃがいも、さつまいも、蜂蜜、など

痔に使う漢方薬

  •  乙字湯(オツジトウ)ツムラ3

痔(特に痔核)の漢方薬としては第一選択薬になることが多いです。痛みや出血などがある初期の痔に効果が期待できます。当帰(トウキ)が排膿作用や止血作用などをあらわし冷えや血行障害などの改善し、また緩下作用を持つ大黄(ダイオウ)を含み便通などが改善します。下痢をしやすい方には注意が必要です。

  • 芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)ツムラ77

主に出血を伴う痔に対しての改善効果が期待できる漢方薬です。主な構成生薬から一文字ずつとったものが名前の由来で、補血作用や血流などに関わる当帰、止血などに関わる艾葉や阿膠(アキョウ)、鎮痛・鎮静作用や血流改善などにも関わる川芎が入っています。その他、地黄(ジオウ)、芍薬(シャクヤク)、甘草(カンゾウ)を構成生薬として含みます。地黄が入っているので、胃腸などが虚弱な体質である場合は注意が必要です。

  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)ツムラ25

瘀血による婦人科疾患でよく使用されている漢方薬で、構成生薬に桂皮(ケイヒ)、茯苓(ブクリョウ)、桃仁(トウニン)、芍薬(シャクヤク)、牡丹皮(ボタンピ)を含み、これらの生薬には抗炎症作用や血流改善作用などが期待できるものが多いです。痔疾患に対しては、痔核が腫れている状態などに対して改善効果が期待できるとされています。

  • 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)ツムラ41

う代表的な漢方薬で、構成生薬の人参(ニンジン)と黄耆(オウギ)が、疲労・倦怠感があり胃腸機能が低下している状態などを改善します。慢性的な痔や、内臓下垂傾向の改善効果から、腸がはみ出す「脱肛」の改善効果が期待できます。

  • 紫雲膏(シウンコウ)

当帰(トウキ)、紫根(シコン)、ゴマ油の精油エキスを主な成分とする軟膏製剤で、痔核による疼痛の他、火傷や肛門裂傷などに使われる外用薬です。即効性があり、急性期の治療に効果があります。赤紫色の軟膏なので、下着の着色には注意が必要です。

まとめ

最初にお話ししたゴルフの先生、職業柄ストレスフルな状態。「飲む、打つ、買う」の「飲む」でストレスを発散している様子です^^;ストレスもアルコールも痔には天敵…打つも買うもできないとのことなので(当たり前か^^)、何か良いストレス発散法を探していただくとして、いつも先生に歯向かってばかりいる私もすこ~し反省いたしました^^;いずれにしても、痔の症状には食事や排便、運動など、普段の生活が大きく関わっています。この生活習慣は、のんびりエイジングにもつながる大切なことですので、皆様も生活習慣を見直して、痔になりにくい体質をめざしていきましょうね~(^^)/

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