今年は仕事納めが早く、大掃除やおせちの準備など、実家の手伝いをしようとすこし早めに帰省しました。しかし…手伝いどころか、朝起きたらすっかり朝ごはんの用意はできていて、うっかりこたつで昼寝していたら夜ごはんもできあがっていてと、相変わらずの実家天国、ぐうたらざんまいです😅大掃除もおせちもほとんど終わってしまったとのことで、何か役に立つことはないかと考えていたら…思いつきました!
「お屠蘇を作る」
小さいころから、お屠蘇とは「正月に飲む日本酒」のことと思っていましたが、漢方薬局に勤めて、初めて、お屠蘇が薬用酒と知りました。いつか作ってみたいと思いつつ、なかなか実行できずにいましたが、のんびりとしたこの年末、絶好の機会がやってきました~♪これが実家の役に立つかはよく分かりませんが、まあ好奇心は満たされるということで、今回は、「お屠蘇」大特集です❣
「お屠蘇(おとそ)」とは
「お屠蘇」とは、正月に祝い酒として飲まれる薬草酒のこと。いくつかの生薬を調合した「屠蘇散(とそさん)」または「屠蘇延命散(とそえんめいさん)」を、日本酒やみりんなどに漬け込んで作ります。
お正月にお屠蘇を飲む習慣は中国で始まったとのことで、三国史にも出てくる曹操の主治医・華蛇(かだ)が考案したという説があるそうです。日本には平安時代に伝わり、宮中の正月行事として始められたのが、江戸時代に一般に広まりました。医者が薬代の返礼にと屠蘇散を配るようになったのもこのころで、これは現在でも、薬局等で年末の景品に屠蘇散を配る風習として残っているそうです。
屠蘇散の「屠」には邪気を払うという意味が、 「蘇」には魂を目覚めさせるという意味があり、組み合わせることで「邪気を払い生気を蘇らせる」という意味になります。 無病息災や長寿を願うのに役立つと考えられ、お正月に飲む祝い酒として広まったのです。
お屠蘇は地域によって中身が異なるそうです。関西は日本酒やみりんと屠蘇散を合わせた物をお屠蘇と呼ぶ半面、関東以北では日本酒をそのままお屠蘇として飲む習慣があるとのこと。 また地元のお酒に漬け込むところもあり、熊本では赤酒、鹿児島では黒酒が使われます。
屠蘇散に入っている生薬とその薬効
白朮(ビャクジュツ) | キク科オケラの根。体内の水分の働きを正常に調節する働きがあります |
山椒(サンショウ) | ミカン科山椒の実。胃腸の機能を高め、冷え性を改善し、痛みを軽減する効果があります |
桔梗(キキョウ) | キキョウ科キキョウの根。去痰作用や鎮痛、鎮静、解熱作用があり、喉の痛みに効果があります |
肉桂(ニッケイ) | クスノキ科ケイの樹皮。血の巡りを改善させ、体を温める作用があります |
防風(ボウフウ) | セリ科ボウフウの根。頭痛を取り、発汗、去痰作用があります |
陳皮(チンピ) | みかんの皮。胃腸の調子を整え、食欲不振や吐き気などを鎮める働きがあります |
お屠蘇の作り方
- 材料
屠蘇散 日本酒 本みりん
屠蘇散はパック入りのものがスーパー、ドラッグストアなどで購入できます。みりんは、みりん風調味料ではなく本みりんを選びましょう。
- 作り方
酒と本みりん合計300mlに、屠蘇散を浸します。酒を多くすると辛口な仕上がりに、本みりんの割合が多いと 甘口でまろやかな味わいになります。 5〜8時間浸したら屠蘇散を取り出して出来上がり。
せっかく作るのですから、飲むお作法にもこだわってみましょう(^^♪
お屠蘇のお作法
・お屠蘇を飲む前には、手を清めて神棚や仏壇を拝む
・家族が揃ったら新年の挨拶を済ませて、おせちを食べる前に飲む
・家族全員で東の方角を向いて飲む
・3回に分けて酒器に注ぎ、3回に分けて飲みきる
・飲む人の右側からお屠蘇を注ぎ、年下の人から先に飲む
屠蘇をいただく際、正式には「屠蘇器(とそき)」という道具を使いますが、お正月らしい酒器で十分と思います。飲むときには、「一人これ飲めば一家苦しみなく、一家これ飲めば一里病なし」と唱えましょう。
まとめ
漢方薬局でお客さんに配られていた屠蘇散を見て以来、実家のやり方が間違っていたと思っていましたが、全国でいろんな風習があることがわかって、なんだか安心です(^^♪そういえば、うちは雑煮の出汁にするめを使うのですが、これも地元では珍しいとのことで、調べてみたら、九州の風習のようですね。母の地元である関西で育ちましたが、父は九州出身、その前はもうよく分かりませんので、お雑煮は九州風、お屠蘇はなぜだか関東風だったということで決着です(^_-)-☆
さて、関西風お屠蘇のお味はどうでしょうか。80年以上日本酒お屠蘇でお正月を迎えていた父が嫌がらなければいいのですが…^^;31日夜に仕込んでみようと思います~今年もあと少し、また来年も、ぼちぼち更新していきたいと思います。皆様も良いお年をお迎えくださいね~(^^)/