先日、しゃっくりが止まらないとのことで、抗精神病薬の「コントミン」という薬が処方された患者さんがいました。もう丸3日間しゃっくりが止まらないとのことで、かなりお辛そうな様子。勉強不足で恥かしいのですが、コントミンがしゃっくりに効くというのを初めて知り、患者さんに説明するときに慌てて調べた次第です^^;ちなみに作用機序は、ドパミン受容体の拮抗作用によってγアミノ酪酸(GABA)系神経の賦活作用が進み、吃逆中枢の働きを抑制するというものです。
さてさて、以前のブログで柿を特集した時にもお話ししましたが、中医学ではしゃっくりといえば「柿のヘタ」。副作用が気になる抗精神病薬を使うよりは、柿のヘタで治るとありがたいですよね~(>_<)ということで、今回は中医学的しゃっくりの対処法を特集しまーす(^^♪
しゃっくり
正式名を、吃逆(きつぎゃく)といい、胸部と腹部を仕切る横隔膜が急速な収縮を起こすと同時に声帯が閉鎖することで、空気の流入(吸気)が阻止される現象です。自分の意思とは関係なく発生する反射運動で、なにかのきっかけで急に横隔膜が収縮やけいれんをすることで起こります。通常は48時間以内に止まり、様子を見て問題ないのですが、2日以上続く場合は隠れた病気の存在を考える必要があるため、病院を受診しましょう。
中医学的に見たしゃっくり
中医学的には、しゃっくりは「呃逆(あくぎゃく)」とよばれ、逆行した「気」が上方(喉)につき上げて起こると考えられています。そして原因は「胃」。冷たいものや生ものの食べ過ぎや、ストレス、長期的な病などによって、胃がダメージを受けて、胃の気が上がることで、しゃっくりが起こります。
①胃寒
胃が冷えているしゃっくりです。温めると良くなり、冷えると悪化するのがポイント。重くて力のあるしゃっくりが多い。
②胃熱
胃に熱をもっているしゃっくり。口臭や口渇を伴う事が多く、脂っこいものを食べると悪化する傾向がある。強いしゃっくりがでる。
③胃陰虚
胃の潤い不足で、胃の下へ降ろす働きが低下してでる。口の乾燥、口渇を伴い、間欠的な強くないしゃっくりがでる。
④脾腎陽虚
体の底から温める力が弱いかたのしゃっくり。手足の冷え、倦怠感、食欲不振、足腰のだるさなどを伴う、持続性の弱いしゃっくりがでる。
⑤肝鬱気滞
肝の体のバランスを整える働きが乱れて、胃の下へ降ろす働きが失調することで出るしゃっくり。ストレスで悪化するのがポイント。
柿蔕(してい)
柿のヘタを乾燥したものは 「柿蔕」と言われて、昔から「しゃっくりの特効薬」として使われています。胃の気を降ろし、横隔膜のけいれんを鎮めてしゃっくりを止める効果があります。
柿のヘタ茶
(材料)
柿のヘタ…5~6個、水…約300ml
(作り方)
1.鍋に柿のヘタと水を入れ、弱火で30分煮る
2.すぐにカスを取り除いて出来上がった液が1日分
1日3~4回に分けて、しゃっくりが止まるまで服用しましょう
柿蔕湯(していとう)
柿のヘタを煎じるのが大変な方は、柿蔕湯という漢方薬が市販されています。「柿蒂(してい)」と「丁子(ちょうじ)」「生姜(しょうきょう)」の三種類からなり、特に体が冷えやすく、胃が弱い人の長引くしゃっくりに効き目があります。
丁子:料理のスパイスでつかわれる「クローブ」のこと。身体をあたためてしゃっくりが続く原因の冷えを取り去ります。
生姜:ショウガの根茎を乾燥したもの。発汗、健胃、鎮吐などの効能があり、しゃっくりが続く原因となる胃腸の冷えを追い出し、胃腸の動きを整えます。
①や④のような、冷えからのしゃっくりだと、柿蒂湯がうまく効いてくれると思います。反対に、②、③のように体が熱を持っているような方のしゃっくりには、柿のヘタだけがいいと思います。⑤の場合はまず、気の巡りを良くする漢方薬を選びましょう。
まとめ
私が勤めていた漢方薬局でも、柿蔕湯は思ったよりはよく売れていた印象で、お話を聞くと、高齢の家族の方がしゃっくりが止まらなくなって心配、のような場合が多かったです。しゃっくりは意外と体力を消耗しますし、ご高齢だと体へのダメージが大きいので、心配ですよね。他かがしゃっくり、されどしゃっくり、脅かすと止まる、とか、息を止める、水を飲むなど、いろんなしゃっくりの止め方?がありますが、長引くときはぜひ、柿のヘタ、思い出してくださいね~(^^)/