コロナ後遺症(Long COVID)と漢方薬

新型コロナ感染症にかかって2週間経過しました。ひどかった咳はようやく落ち着いてきましたし、味覚もだいぶん戻ってきました。ただ、まだ倦怠感が残っていて、やっぱり普通の風邪とはちょっと違うなと実感しています。息子も、咳や倦怠感に加えて、めまいが出て、薬を飲んでいるもののすっきりしない状態が続いているようです。

ニュースなどでもたびたび話題になっているように、新型コロナウイルス感染症罹患した後、様々な症状が長引き、つらい思いをしている患者さんが多いようですね。いわゆる「コロナ後遺症」ついて、今回は中医学的な考え方や、よく使われる漢方薬を特集しますね~

コロナ後遺症(Long COVID)

定義

「新型コロナの発症から通常3か月間以内に出て、少なくとも2か月以上続く、ほかの病気の症状としては説明がつかない症状」を「コロナ後遺症」と定義されています。英語では「Long COVID」と呼ばれています。

主な症状

けん怠感や息切れ、記憶障害や集中力の低下、嗅覚や味覚の障害などがあるとされています。その他、抑うつ、微熱、筋力低下、関節痛、筋肉痛、頭痛、咳、痰、胸痛、痺れ、睡眠障害、脱毛など、多岐にわたるとされています。

原因

ウイルス感染を修復するために産生されたサイトカインが、ウイルス消滅後も過剰に反応して倦怠感意欲低下などの行動変化を引き起こす病態を「Sickness behavior」と言います。コロナ後遺症の発症原因の一つとして、このSickness behaviorが関係すると考えられています。その他、新型コロナウイルスの感染による肺や血管などの障害、自律神経や中枢神経の障害、罹患時のストレスなどが考えられていますが、現在のところ不明な点が多いです。

コロナ後遺症の治療

西洋医学では、症状に応じた対症療法が行われます。鎮痛薬や、抗不安薬、抗うつ薬、鎮咳薬、去痰薬などが用いられます。
それに対して、中医学では、ウイルスによるダメージや、心身バランスの失調、自律神経の失調などを漢方薬で調整することで、コロナ後遺症の症状をやわらげる治療が行われます。五臓の特にどこにダメージが出ているかによって、使われる薬を選んでいきます。

中医学的コロナ後遺症の治療法

疲労倦怠感、微熱、脱毛などの症状がある場合は「腎精不足(じんせいふそく)」と考えます。腎精とは、生命活動や成長・発育・生殖の基本となる、生命体の根本をなす物質のことで、精は「脳・髄・骨を生じる」物質として、脳と深い関係にあります。感染症の影響で腎精が減少し、脳の機能が低下するために起こると考えられます。体質に合わせた補腎薬が効果的です

動悸、息切れ、疲れやすい、不眠、やる気が出ないなどの症状が見られる場合は、「心気虚(しんききょ)」と考えます。気虚のために心の機能が弱まり、心臓や精神の症状が表れます。ツムラにはないですが「麦味参(ばくみさん)」が効果的です。

嗅覚障害、咳、痰、息切れ、呼吸困難などの症状が見られる場合は、「肺気虚(はいききょ)」と考えます。肺の防御機能がもともと弱い方は、感染症にかかりやすく、呼吸器系の後遺症残がりやすい体質です。市販の「玉屏風散 (ぎょくへいふうさん)」が効果的です。

味覚障害食欲不振、下痢などの症状が見られるようなら、「脾気虚(ひききょ)」と考えます。脾は消化吸収や代謝をつかさどり、気血の源を生成しますが、脾気が不足し運化機能が失調することによって起こります。「六君子湯(りっくんしとう)」ツムラ43や「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」ツムラ41が使われます。

抑うつ、睡眠障害、頭痛などの症状がある場合は、「肝鬱気滞(かんうつきたい)」と考えます。肝は自律神経系と関係が深い臓腑で、肝の疏泄機能が失調して気機が鬱滞して起こります。「四逆散(しぎゃくさん)」ツムラ35などが使われます。

日常生活での注意点

十分な睡眠と休養をとり、消化のいい食事をしっかり取るようにしましょう。体を冷やすと、腎がダメージを受けるので、保温も心がけましょう。ストレスをためないよう、リラックスした時間を持つことも大切です。体調のいい時は軽く体を動かすこともよいでしょう。

まとめ

息子の場合は、主に肝がダメージを受けているように思いますので、柑橘系の果物を食べて、気を巡らせるように心がけて、めまいの症状が軽い時は、近くに散歩に行くようにしています。私の場合は、脾のダメージが激しい感じ^^;普段よりも更に消化のいいものを食べて、早く寝るように心がけています。
新型コロナ感染症の後遺症は、まだまだ分からないことが多いです。でも、中医学的には考え方はとてもシンプル。ダメージを受けているところを補ったり、巡らせたりすることで、体のバランスを調節していくことにつきます。皆様も、コロナ感染症にかからないことが一番ですが、罹ってしまった場合は、上手に体のバランスを整えながら、身体の回復を図っていきましょうね~(^^)/
 

 

 


 

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