新型コロナと漢方薬

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相変わらず毎日発熱外来は忙しいですが、新型コロナ感染症の患者さんは、全国で見れば少しずつ減ってきている様子。終わりが見えないと思っていた第七波も、ようやくここにきて収束傾向のように感じます。軽症の患者さんが多いとはいえ、咳や味覚障害などの後遺症を訴える患者さんもいらっしゃいます。以前薬をお届けしていたご高齢の方が、コロナで先月お亡くなりになったとも聞きました。今後、コロナと共存しながらの生活が続いていきます。気を付けるべきところではしっかり気を付けて、引き続き感染対策を怠らないようにしたいと思います。

さて、大体の方にとっては普通の風邪のような症状で終わるコロナですが、風邪と言ったら漢方薬が得意分野!以前「風邪には4種類あります」で、お伝えした通り、寒気がするか、熱が高いか、おなかにきているか、咳が出るか、このあたりで漢方薬を使い分けていきます。ただ、新型コロナ感染症は普通の風邪よりはやや強い症状の場合も多く、どちらかといえば、インフルエンザに似ているなと感じます。今回は、新型コロナ感染症の症状が出た場合によく使用される漢方薬を紹介していきたいと思いま~す

柴葛解肌湯(さいかつげきとう)

ツムラにはないので、葛根湯(1)と小柴胡加桔梗石膏(109)を合わせて飲むことで代用します。
インフルエンザなどの急性疾患によく使用されている処方で、強力な邪が、体表だけでなく一気に体の奥にまで侵入し、体表、 体内の両方に悪影響をおよぼす場合に使われます。中医学でいう、太陽病と少陽病の合病の状態ですね。
太陽病(風邪の引きはじめ)に使う葛根湯と少陽病(風邪が少し進んだ状態)に使う小柴胡湯に清熱の桔梗石膏を合わせたような処方なので、葛根湯の悪寒、頭痛、身体痛、発熱、無汗などと、小柴胡湯の口が苦い、 胸脇部の張り、食欲不振、悪心、嘔吐などの症状、さらには桔梗石膏の熱症状やのどの痛みが強い、というのを目安に使います。
急性熱性疾患で熱症状が強く、のどの痛みも強い場合は、柴葛解肌湯はおすすめです。

大青竜湯(だいせいりゅうとう)

これもツムラにはないので、麻黄湯(27)と越婢加朮湯(28)で代用します。
発汗作用の強い「麻黄湯」の麻黄と甘草の量を倍に増やして、石膏・生姜・大棗を加えたものになり、さらに発汗作用が強められています。麻黄で発汗作用を強めて、石膏で熱を冷まし、生姜は、桂枝の作用を助けるため、大棗は、石膏による胃腸障害を防ぐために加えられています。
熱が高く、筋肉痛や関節痛の症状が強い方にお勧めです。
麻黄の量が多いので、お子様や、胃腸虚弱者、高齢者、心臓や腎臓に疾患のある人には、用いないほうが良いです。また、長期に使う薬ではなく、発汗したらすぐやめましょう。

清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)

病院で処方されることは少ないかと思いますが、新型コロナ感染症の流行が始まったころ、中国で中等症~重症例に使われて、効果が出たと報告のあった漢方薬です。予防や軽症で用いる薬ではなく、肺炎を起こした患者さんに、西洋薬とともに用いられたようです。日本では「清肺排毒湯」はなくて、麻杏甘石湯(55)、胃苓湯(115)、小柴胡湯加桔梗石膏(109)を一緒に服用することで代用します。当時、漢方薬局にもこの薬を欲しいという患者さんが、よく来局されていて、心配だからどうしても、という患者さんには、この組み合わせてお渡ししました。

漢方薬服用時の注意点

  • 漢方薬の効果的な飲み方

新型コロナウイルスに感染して症状が出た場合、すべてお湯に溶いて飲みます。ゾクゾク感、悪寒、発熱があるときすぐに服用するようにしましょう。服用後はお粥など温かいものを摂り、毛布や布団にくるまり体を冷やさないようにします。服用後発汗が無ければ、早めに追加服用し、発汗したら服用を止めます。

  • 西洋薬の併用薬がある場合

病院にかかったら、漢方薬と一緒に西洋の薬が処方される場合も多いです。
使い方で気を付けないといけないのは、解熱鎮痛薬です。熱を下げ過ぎると、免疫を落とし病気を遷延させてしまいます。解熱鎮痛薬は、必要最小限でやめる事が重要です。具体的には、39度くらいでぐったりしていたら解熱剤で38度前後に落とす、その後は使用せず、自然にさがるのをまちましょう。もちろんしっかりと水分補給は必要です。
また、風邪が初期でとどまらず、肺炎や副鼻腔炎を起こした可能性がある場合は、抗生物質が処方されますが、その場合は漢方薬と併用OK。決められた通りきちんと内服しましょう。

  • 病院にかかれず、自宅で様子を見る場合

柴葛解肌湯も大青竜湯も、そのまま購入するのは難しいです^^;市販の風邪の漢方薬も効果があるので選ぶ目安をお伝えしますね~

麻黄湯:がっちり体型。汗がなく、悪寒が強い、関節痛が強い
葛根湯:中肉中背。汗がない、悪寒がある、肩や背中のこわばりがある
桂枝湯:中肉中背~痩せ。ジトっとした汗が出ている
麻黄附子細辛湯:痩せていて年配の方。普段から寒がりで、体力がない

だいたいこんな感じで選べば問題ないです!(^^)!

年末に向けて、また別の株が流行る可能性も高いですし、今年はインフルエンザも流行るのではないかと言われています。今回の組み合わせを参考にして、ぜひ上手に乗り切っていきましょうね~(^^)/