温燥と涼燥

いつまで続くのかと思っていた残暑がようやく落ち着いたと思ったら、ここ数日ぐっと気温が下がってきました。もう10月も半ばなので当然なのですが、半そでにタオルケットで寝ていたのを、慌てて長袖パジャマに薄崖のお布団を出しました(^^;暑すぎて書く気にもならなかった秋の養生ですが、早く書かないと冬が来そう…ということで、今回は暑くも寒くもなく花粉もない、1年で一番大好きな季節「秋」の養生について、お伝えしますね~

秋の養生

秋は陽の気と陰の気が入れ替わる過渡期で、気候がだんだん寒くなって、日照時間が短くなります。その結果、セロトニンやメラトニンなどの神経伝達物質のバランスが乱れ、感情の調整がうまくいかなくなり、抑うつ、活動意欲の低下、過食や過眠、イライラや不安などのネガティブな感情が増えるといった症状が見られることがあります。日中に散歩をするようにしたり、短時間でも外に出る機会を習慣にするとよいです。また、生活のリズムを整えることを心がけ、質の良い睡眠を取るための工夫をしてみましょう。

また、秋といえば感想の季節。乾燥に弱い「肺」がダメージを受けやすい季節です。秋の主気である燥邪(そうじゃ)は、口や鼻から入り、直接肺を犯すという特徴があります。だから、乾燥する秋は、肺の病気(カゼや喘息など)を起こしやすい季節です。また、大量の汗、冷房による皮膚への負担、睡眠不足による体内の潤い不足といった夏の消耗から、体の中の乾燥(内燥)が起こりやすい時期です。外燥(大気の乾燥)と内燥が重なると、心と体に様々な支障が出てくる可能性が強まります。
漢方の古典「黄帝内経(こうていだいけい)」では、この季節には、鶏の寝起きのように、早く寝て早く起きることであり、心を安らかにして、くやまず精神を落ち着かせて、秋の気が身体を損なうことのないようにし、やたらと動きまわって、肺を冷やさないようにする。」とあります。この時期の養生として大切なのは、乾燥に気を付け、夏の疲れを癒し、冬への備えをすることですね。

燥邪

燥邪には、「温燥」と「涼燥」があります。暦の上では、立秋~秋分の日まで夏の暑熱が残っているので「温燥(おんそう)」、秋分~霜降は、冬の寒気と一緒になるので「涼燥(りょうそう)」といいます。近年の猛暑の影響を考えると、10月初旬までは温燥といえるかもしれませんね。

温燥(おんそう)の養生

体の余分な熱を取るようにする

おすすめの食材…トマト・ナス・キュウリ・緑豆もやしなど

胃腸を整える(暴飲暴食、冷たいものの摂りすぎに注意)

おすすめの食材…米・山芋・きのこ類・かぼちゃ・アボカドなど

③空気が乾燥し始める。→肺を潤す

おすすめの食材…百合根・豆乳・松の実・胡麻・卵・白きくらげなど(白い食材)

涼燥(りょうそう)の養生

①体を温めるようにする

おすすめの食材…ニンジン・かぼちゃ ・玉ねぎ・ジャガイモ・ネギ・ニラ・レンコンなど

②と③は同じ

秋の生活養生

  • 薄着をしすぎない

気の勢いが外向きから内向きに変わるので、皮膚の防衛力が手薄になります。薄着でからだの熱や水分を逃がしたりして、かぜを引かないように気をつけ、汗をかいたらすぐに拭きましょう。

  • 汗をかきすぎるような激しい運動は避ける

激しい運動でエネルギーの消費や発散を強めると、冬に向け健康を維持できなくなります。また汗のかき過ぎは、内燥が進みやすくなります。激しい運動をした後は、必ず潤いをケアしましょう。

  • 憂鬱(ゆううつ)にならない

心静かに、気持ちをできるだけ平穏に保ちましょう。心配事や悲しみで感傷的になりそうなときは、カラオケなど大きな声を出して発散しましょう。

  •  眠り過ぎない

長く寝ていると、秋と関係の深い肺気が虚すといわれています。肺(呼吸器)が弱っている人にとって、体を休ませ過ぎることは、気のめぐりをますます悪くします。寝不足には気を付け、早寝早起きを心掛けましょう。

まとめ

昨日今日は11月の気温ですが、明日はまた夏日の予報。気温差に体がついていくのも大変ですよね。気持ちも落ち込みやすい今の時期、上手に発散しながら、潤いを保つ生活を工夫したいですね~

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