先日、患者さんと話していて、おもしろいことを聞きました。その方は77歳ですが、薬は降圧剤程度。今回の血液検査もばっちりだったとのこと。何か秘訣はあるんですか?と聞いてみたところ、「赤ワインを毎日グラス1杯飲んでいる。」赤ワインにはポリフェノールが豊富に含まれており、老化防止にに効果があるが、そもそもアルコール自体が体に悪い、というのが今の通説のはず。そしたら、「赤ワインだけは老化にいいということが新聞に書いてあった」とのこと。さて、これが本当なら、赤ワイン好きの私には朗報です💛またまた今回は中医学を離れて調べてみることにしました~(^^)/
レスベラトロールと長寿遺伝子
色々調べてみると、最近の発表の中では「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」について書かれているものが多かったです。要約してみました。
赤ワインに含まれるポリフェノールの中の「レスベラトロール」は、サーチュイン遺伝子を活性化することがわかりました。
サーチュイン遺伝子とは「若返りの遺伝子」として注目を集める遺伝子群で、細胞の修復やエネルギー代謝などに関わります。老化する大きな原因は日々DNAがダメージを受けていることですが、サーチュイン遺伝子は、こういったダメージを修復することができます。その、サーチュイン遺伝子を活性化するのに有効なのが、赤ワインやぶどうなどに含まれる「レスベラトロール」を摂取すること。
残念ながら赤ワインだけでサーチュイン遺伝子を活性化しようと思うと、実にフルボトルで約10本分を飲まなければならず、現実的ではありません。
ということで、まとめると、「赤ワインを飲めば健康長寿」と決めつけることはできませんが、レスベラトロール自体には健康効果が期待できる。ということだと思います。
余談ですが、以前ブログで書いた「NMN」もサーチュイン遺伝子を活性化することで知られています。
赤ワインの効能
さて、それ以外の赤ワインの効能をお伝えしますね~ここからは、赤ワインの具体的な効能を解説していきます!
血圧を下げる
赤ワインには利尿作用のあるカリウムが豊富に含まれているので、尿とともに塩分を排出してくれて、血圧を下げる効果が期待できます。ただし、アルコールを長期的に摂取するとかえって血圧を上げることに繋がる可能性がもあります。
動脈硬化予防作用がある
動脈硬化は悪玉コレステロールが酸化することで起こります。赤ワインに含まれているポリフェノールには、悪玉コレステロールの酸化を防ぐ作用があります。
アンチエイジング効果がある
赤ワインに含まれるポリフェノールには抗糖化作用もあります。糖化とは、体内の余分な糖とタンパク質や脂質が結びつき、AGEs(Advanced Glycation End Products)と呼ばれる老化物質を生成する現象のことです。これによって、肌や血管の老化、骨粗鬆症の発生リスクといった悪影響があるとされています。
眼精疲労など目に良い
赤ワインに含まれるアントシアニンには、眼精疲労や視力回復の効果があるとされています。
認知症リスクを軽減する効果
レスベラトロールというポリフェノールの一種の成分が、記憶力の回復やアルツハイマー等の病気のリスクを低減する効果があり、認知症の予防になります。短期記憶や学習に関わる脳の神経細胞の機能を改善させる効果があることもわかっています。
赤ワインの健康に効果的な飲み方
赤ワインは健康に効果的ですが、大切なのは適量を守ることです。体に良くても飲み過ぎてしまっては、かえってダメージを与えてしまいます。健康効果を期待するなら、一日に1~2杯がおすすめです。また、赤ワインに含まれるポリフェノールは、色素が歯に付くと着色汚れ(ステイン)を生じます。これは、歯の周りにあるペリクルというたんぱく質の膜が色素を吸着してしまうためです。赤ワインを飲む前後に水を飲むなど歯の表面を乾燥させない工夫も有効です。
まとめ
今回は、赤ワインの効果について解説してきましたが、基本的には、「お酒は飲まないほうがいい」というのは通説であることは変わりありません。ただ、赤ワインに含まれているポリフェノールには様々な健康効果があることも事実です。
お酒好き、赤ワイン好きとして、今回の結論としては次のようなものにしておきます。
「アルコール消費量とアルコール関連疾患のリスクの関係は直線的な比例関係ではなく、緩やかなL字に近いもので、酒量レベル1(アルコール換算で10g)までの上がり方は緩やか。つまり、できることなら酒量はゼロの方が望ましいものの、日本酒半合、ワイン1杯程度までの飲酒であれば、リスクは”さほど”上昇しないということはいえる。」
ということで、1日グラス1杯の赤ワインはオッケーということにしましょうか♪皆様も上手にアルコールと付き合って、健康的に年を取りましょうね~(^^)/