数日前から、右目になんだかもやもやしたものが見えます。瞬きしても、目を洗っても改善しません。ごろごろ感など違和感は感じないのですが、なんだかうっとおしい^^;これが噂の?飛蚊症ですかねー思っていたよりかなりいやな症状です(>_<)
今回は、飛蚊症について、そして、飛蚊症の主な原因である加齢に対しての漢方薬、「補腎薬(ほじんやく)」についてお伝えしますね~
飛蚊症(ひぶんしょう)
眼球の硝子体が濁ることによって視界に蚊が飛んでいるような影が見える現象です。特に明るい場所で視界に蚊のような影が浮遊し、視界をずらしても影が少し遅れてついてきて、まばたきをしても消えません。
硝子体が濁る原因には、加齢によるものと、網膜裂孔や硝子体出血、ぶどう膜炎など病的なものがあります。
加齢によるものは、西洋医学的にはこれといった治療方法はないのが現状です。慣れてくると症状は軽減するため、特に治療の必要はありません。60歳代前半の人によくみられますが、近視が中等度以上の人では10年ほど早く発症するそうです。
病的なものは、放置すると視力の低下や失明につながる恐れがあるため、早めに眼科を受診して適切な治療を受けることが大切です。
・網膜裂孔・・・レーザーによる凝固術を行い、裂孔が広がって網膜剥離に進行するのを防ぎます
・硝子体出血・・・原因となっている糖尿病や高血圧の治療を行います
・ぶどう膜炎・・・内服薬や点眼薬で、炎症を抑えます
雲霧移睛(うんむいせい)
中医学では、飛蚊症は「雲霧移睛(うんむいせい)」と呼ばれます。
老年者や虚弱者に多く、腎陰が不足しているため起こると考えます。両眼の乾燥感、異物感、疼痛、頭のふらつき・耳鳴り・腰や膝がだるくて無力などの症状を伴います。
目の症状は、五臓六腑の中では、特に「肝」と深い関わりがあり、「肝」は目の栄養源である「血」を蔵します。目を酷使して肝血を消耗すると、目に行き渡る栄養が不足し、目の老化を早めます。
また、「肝」はストレスによるイライラや鬱など精神的なトラブルの影響を受けやすく、肝が弱ると、目の症状も悪化しやすくなります。
また、硝子体の加齢は、漢方では「陰」の不足からくる目の中の潤い不足と関係しており、この状態を放置しておくと、いずれは網膜裂孔や剥離の原因となる可能性もあります。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
目のトラブルにもっともよく使われる漢方薬の一つが杞菊地黄丸です。
補肝腎作用があり、老化、慢性消耗性疾患に使用する六味丸(ろくみがん)に、目の不調に用いる菊花と枸杞子の2種類の生薬を加えたものです。枸杞子(クコシ)は滋補肝腎・明目で、目の症状と肝陰虚を軽減し、また菊花(キクカ)は清肝熱・明目に働き目の症状を改善します。視力減退、目のかすみ、眼精疲労、目の乾燥・痛み、充血、まぶしい等の目の症状に特化した処方です。
さて、ここで、いろいろな補腎薬のベースになっている六味丸について、紹介しますね
六味丸
六味丸は、地黄(ジオウ)・山茱萸(サンシュユ)・山薬(サンヤク)で腎精不足を補い、牡丹皮(ボタンピ)・沢瀉(タクシャ)で腎陰虚の虚熱を冷まし、沢瀉・茯苓(ブクリョウ)で補腎精薬の潤し過ぎを抑え、利水の働きをします。三補三瀉(さんほさんしゃ)の処方で、穏やかな作用になり、長期服用が可能です。杞菊地黄丸以外にも、六味丸をベースにいろいろな薬があります。
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)・・・「六味地黄丸」+桂枝(けいし)・附子(ぶし)
桂枝と附子は体を温める力が強く、腎陽が不足した腎陽虚タイプの方の冷え性に使われます。
- 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)・・・「八味地黄丸」+牛膝(ごしつ)・車前子(しゃぜんし)
薬効を下に引っ張る力のつよい牛膝と利水作用のある車前子が入ることによって、膝痛や前立腺肥大に用いられます。
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん)・・・「六味地黄丸」+知母(ちも)・黄柏(おうばく)
清熱作用が杞菊地黄丸よりも更に強い処方です。陰虚火旺の症状、例えばほてりや微熱、盗汗(とうかん:夜間の汗)などの症状に効果があります。別名「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」です。
- 麦味地黄丸(ばくみじおうがん)・・・「六味地黄丸」+麦門冬(ばくもんとう)・五味子(ごみし)
潤す効果が強化された処方です。肺腎陰虚からの慢性化した咳、微熱、盗汗などの症状に効果があります。皮膚の乾燥にも用いられます。別名「八仙丸(はっせんがん)」です。
- 「耳鳴丸(じめいがん)」・・・「六味地黄丸」+磁石・柴胡
腎虚からの耳の症状に特化した処方です。耳鳴り難聴などの症状に用います。
残念ながら、八味地黄丸、牛車腎気丸以外はツムラにはないので、これら商品を買うか、六味丸(ツムラ87)をベースにして、それぞれに対応する生薬を足す、という方法しかなさそうです^^;
生活養生
飛蚊症は疲れた時に出やすいという傾向もありますので、休養や睡眠を十分にとることが大切です。スマートフォンやパソコンを長時間見ないようしましょう。
また、ストレスは目とつながりの深い「肝」を傷めますので、ストレスをうまく発散させることも飛蚊症の改善や予防につながります。
まとめ
飛蚊症は多くの場合問題はありませんが、放っておくと網膜剥離や眼底出血などの重大な病気を見逃してしまうこともあります。眼科医の診察を受けていただくことが安心です。漢方薬をご使用の際には、必ず専門家にご相談の上お求め下さい。私も早めに眼科を受診してみようと思っています。そして、家に少しあった杞菊地黄丸を合わせて飲んでみようと思います。皆様も、上手に補腎薬、使ってみてくださいね~(^^)/