中医学の基礎知識④舌診

初めての漢方講座は、先日無事?終わりました。準備不足に加え、漢方のことをしゃべりだしたら止まらないという悪癖も手伝って、時間オーバーでかなりの部分を端折ってしまうという、さんざんな出来でしたが、ご参加くださった方からは楽しかったっという温かいお言葉をいただき、涙の出る思いです(^^;今回の反省をしっかりして、もしも次の機会があったら、もう少しましな講座が開けるよう少しずつ努力をしていきたいです💛

さて、今回は講座の時にまるっきり端折ってしまった舌診について、以前にお話しした内容に加えてお伝えします。前回の体質診断のチェックで、よくわからないときは舌の様子を見るのが判断材料になります。ではまず復習から(^^♪

舌診

中医学では、次の4つの診察方法=四診で体の情報を集めます。

・望診…全身状態や局所状態、舌、排せつ物などを「見る」
・聞診…音声、呼吸、咳などを「聞く」体や排せつ物のにおいを「嗅ぐ」
・問診…体調、生活習慣、既往歴などを「問う」
・切診…脈やお腹を「触る」

舌を見ることは「望診」の一つで、血液や体内の水分の状態を知ることができます。また、舌は経絡によって臓腑と結びついていると考えられているので、舌の状態によって臓腑の病変を知ることができます。診察するときは、舌本体と、舌の苔を観察します。

舌診の注意点

  • 照明などの条件

自然光のもと、もしくは、照明で十分な明るさを確保することが大事です。できるだけ毎回同じ場所(条件下)でおこないましょう。

  • 飲食物

直前の飲食物に注意しましょう。コーヒー、紅茶、コーラ、みかん、色の着いた医薬品、健康食品などは舌苔を染め、本来の色と違い色となります。また、温かいものや冷たいものを食べた直後も本来の舌と違う色になりやすいです。

舌質

舌本体のことで、色や形などを見ます。

①色

  • 赤っぽい

体に熱がある状態。

  • 青っぽい

体が冷えている

  • 白っぽい

血液が不足=血虚が起こっている

  • 紫っぽい

血の巡りが悪い=瘀血が起こっている。舌下静脈(下の裏の脈)が紫色の場合が多い

②形

  • 大きくはれぼったい

エネルギー不足。胃腸が弱い人に多い。舌の横側に歯の痕が付いているときは脾気虚

  • 薄くて小さい

やせていて体力がない、血が不足している人に多い。

  • 表面に亀裂がある(裂紋)

体のうるおいが不足している

舌苔

舌の表面の苔のことで、質感と色を見ます。

①色

  • 白苔

白くて薄い苔は正常な状態。厚くなると、消化不良や体に余分な水分がたまっている状態

  • 黄苔

体に熱があることを表す。熱が強くなると、色が濃くなり、やがて灰色→黒色に変化する

②質感

  • 厚さが薄い(薄苔)

白い舌苔が薄く均等に付着しているのが正常な状態。

  • 表面が見えないほど厚い(厚苔)

体内に余分な水分がたまっている。

  • ネバネバとしてなかなかとれない苔(膩苔)

消化器系の機能が弱っていて、体内に水分が滞っている。

  • 豆腐のカス状の剥がれやすい苔(腐苔)

食べ過ぎ、飲み過ぎからくる胃腸障害のことが多い。

  • 舌がまだら(地図状苔)

地図上に苔が剥げている場合は、体のうるおい不足。アレルギー体質のこともある。

  • 苔が非常に少ない、または無い

老化、過労により、体液が消耗した状態。体のうるおいが不足している

舌から体質診断

健康な舌は、色がピンク色や淡紅色(淡い赤色)です。形状はギザギザがなくきれいで、歯型がついておらず、大きすぎず小さすぎない状態となっています。

  • 気虚タイプ

舌全体が淡い色で、ぼってりと厚い状態です。舌自体が大きく、舌の縁にギザギザした歯型がつくことがあります。新陳代謝が悪くなっており、水分の循環も悪くむくんだ状態です。エネルギーも消耗状態で、疲れやすい特徴があります。

  • 気滞タイプ

ストレスなどで、肝に負荷がかかり、肝鬱気滞の状態にあると、肝・胆に火(熱)が溜まります。そのため、「肝」「胆」と関係する舌の両側が赤くなります。緊張すると舌が震えやすいという特徴もあります。

  • 血虚タイプ

血の量が少ない「血虚」タイプの人は、舌が養われず形が細く薄っぺらくなり、淡い色で小さい舌「淡痩小舌(たんそうしょうぜつ)」になります。貧血体質で、めまいや立ちくらみも起きやすくなります。また、婦人科系のトラブルが起きる可能性も高く、月経期間の乱れなどが生じます。

  • 瘀血タイプ

舌は血流の悪化がよくわかる部位です。血流が悪くなっている「瘀血(おけつ)」状態では、s舌は紫色っぽい色になり、シミのような斑点が目立ちます。舌裏の静脈が膨張し黒くなることもあります。頭痛や肩こりが起きやすく、肌のくすみも目立ちやすい特徴があります。

  • 陰虚タイプ

陰虚タイプの舌は、雨が降らず干ばつになった地面のように、ひび割れ、苔も生えないのが特徴です。舌全体が赤く、舌苔が少ない、またはまったくない状態です。体に必要な水分を保てず失っており、舌の表面に横にひび割れるような亀裂が見られ、舌の形が細くなるなどの特徴があります。

  • 痰湿タイプ

痰湿タイプはむくんでいて、厚いベトベトした舌苔があることが特徴です。体内に痰湿が多いと苔が溜まりやすくなります。体に余分な水分や脂肪が多く、むくみや冷え、便秘もしくは下痢に悩むことが多い体質です。白い苔なら寒タイプ(痰湿)、黄色い苔なら熱タイプ(湿熱)と見分けることができます。

まとめ

前回の講座では、参加者様はとてもバランスが良い状態で、体質診断チェックからは問題点が分かりにくかったのですが、舌から陰虚があることがわかりました。また舌裏から瘀血もあることがわかり、今後の生活で気を付けることがわかってよかったと話されていました。なかなか人と比べることがない舌ですが、毎日自分の舌を診ていると、その日の体調もわかるようになってきます。皆様も、舌診を健康管理、そしてスローエイジングに役立ててみませんか~(^^)/

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