先日、口周りのニキビで悩んでいる患者さんが薬局に来られました。持ってこられた処方箋には、ミノマイシン(抗生物質)、ピリドキサール(VB6)、アクアチムクリーム。ニキビ治療の王道って感じです。これを飲むとよくなるんだけど、またぶり返してしまうとのこと。私も20代のころ悩んだ経験がありますが、ニキビは、女性にとってはほんとに悩みの種ですよね~”(-“”-)”今日はニキビについて、中医学に考えてみましょう~
ニキビ
ニキビは「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう」」といも言われ、皮膚の角化異常や皮脂の過剰分泌によって起こる皮膚の炎症疾患です。
ニキビの原因としては、新陳代謝のリズムが乱れて肌のターンオーバーがうまくできない、皮脂の過剰分泌、毛穴の中にあるアクネ菌の増殖などが挙げられます。また、ストレスや生活習慣の乱れ、偏った食生活、間違ったスキンケアなども原因の一つとされるため、生活習慣の見直しが重要です。
中医学から考えるニキビ
中医学ではニキビは「粉刺(ふんし)」と呼ばれ、熱や湿など外からの刺激により体内に熱がこもる、「気」「血」の巡りが悪くなることで症状が出ると考えます。原因は大きく分けて、「ストレス」と「脾の機能低下」です。
ニキビのタイプ
白ニキビ
初期の段階で、毛穴に皮脂がたまっている状態です。痛みや痒みなどはないが、肌の表面をさわるとぷつぷつ、ざらざらしています。睡眠不足や疲労が重なることで「血」による栄養が届かず、色のない小さなニキビが発生すると考えられており、食事内容を充実させ、しっかり休息をとることを心がけましょう。また、白ニキビは、刺激物で咳がでる、のどや鼻が乾燥しやすいなど、呼吸器系統が弱い人におこりやすいため、これは皮膚に熱がこもっている(肺熱風熱)ためで、それを発散させる漢方をつかいます。代表的なものは「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」です。
赤ニキビ
アクネ菌が増殖して炎症が進行し、皮膚が赤く腫れあがる状態。腫れて熱感や痛みを伴うのが特徴です。脂っこいものや味の濃いもの、辛いものの食べ過ぎは体内に熱を生じるため、赤ニキビが悪化します。赤ニキビは血に熱がこもっている(血熱)と考え、血の熱をとる漢方を使います。「清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)」などが使われます。
黄ニキビ
赤ニキビの炎症がさらに進行し、化膿した状態です。炎症が皮膚の奥の方まで達してしまうため、治った後もニキビ跡になる可能性が高いだけでなく、クレーターのように肌に凹凸ができてしまうリスクもあります。脂っこいものの過食や便秘が続くと肌に熱毒がたまるので、生活習慣の見直しをしましょう。黄ニキビは、白ニキビや赤ニキビが悪化し化膿したもので、便秘を併発していることが多いです。皮膚や血、そして胃の熱をとりつつ、重度の炎症や感染症という意味をもつ「毒」を追い出す清熱解毒薬を使います。代表薬は「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」です。
紫ニキビ
口のまわりや、あごから首にかけて(胸や背中にも)でやすいニキビで、偏った食生活や飲酒、睡眠不足、冷えや運動不足などによって「血」の巡りが滞り、ニキビを引き起こす、と考えます。紫ニキビは、月経血にはレバーのような塊が混じるなどの症状があり、ホルモンバランスが乱れている人も多いです。熱と毒を取り除き、不要な水(痰湿)を取り除き、血流をよくする漢方を使います。「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が代表的な薬です。
ストレスニキビ
過剰なストレスや不規則な生活などによって、新陳代謝のリズムが乱れて生じるニキビ。出たり引いたり、痒みを伴うことがあるのが特徴。「気」の流れが悪いため「血」も滞り、赤ニキビに進行することもあります。月経前に悪化することも多いので、気分転換して「気」を巡らせることが大切です。
まとめ
今回の女性は、40代後半、やややせ型、顔色は黄色っぽくてあまりつやがない、この冬は手指にしもやけができた、季節の変わり目に悪化する、食欲はあまりない、最近ちょっとストレスがある、とのこと。もともと脾が弱いために「血虚(けっきょ)」があり、血流も良くない=瘀血がある状態で、ストレスがかかったためのニキビ悪化かなと思いました。
生活養生としては、まず脾に負担をかけない食生活。脂っこいものや甘いもの、冷たいものを避ける、夜遅い食事を避けること。そしてストレス解消。軽い運動や趣味などで、気分転換を図る。普段から六君子湯のような脾に対する薬を飲みつつ、悪化したときは熱をとる漢方薬を上手に使えればなおグッドと思います。
最後に抗生剤のことについて。抗生剤は腸内細菌にも影響を与えてしまい、飲んだ後、腸内が元に戻るまで3か月かかると言われています。大事な薬であることは間違いないのですが、どうしても必要な時だけにとどめてていくことが大事です。皆様も、体質改善で、ニキビに悩まない体を手に入れましょうね~(^^)/