だいぶん空気が乾燥してきましたね~いよいよ前回お話しした「燥邪」の季節の到来です。前回は内燥=体の中の乾燥について少しお伝えしましたが、女子には(男子にも?)気になるお肌の乾燥について、今回お伝えしたいと思います~(^^)/。まずは、乾燥とつら~いかゆみについてお伝えします。
皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)
皮膚掻痒(そうよう)症とは、外見上、赤みや発疹などの症状はみられないものの、強いかゆみがある状態です。皮膚掻痒症は、全身にかゆみが現れる場合と、体の一部だけかゆくなる場合があります。外見からは症状がわかりにくいですが、夜も寝られないほどの激しいかゆみが出る場合もあり、かいてしまうと、患部が赤くなったり、腫れたり、湿疹ができたして、症状が悪化することもあります。
乾燥肌(ドライスキン)は、皮膚掻痒症の主な原因とされています。また、腎臓や肝臓、血液などの病気、糖尿病、ホルモンの異常など、病気を発症している人に起こりやすく、その治療薬の影響で発症することもあります。またストレスも悪化の原因となります。ただし、皮膚掻痒症が起こるメカニズムは、完全には明らかにはなっていません。
皮膚掻痒症の治療法
かゆみを抑える働きのある「抗ヒスタミン剤」という飲み薬を用います。乾燥が原因の場合は、保湿剤を塗ります。患部を掻いてしまい湿疹などができているときは、湿疹を抑える働きのあるステロイドが入った塗り薬を使用します。
皮膚掻痒症予防
皮膚掻痒症の予防と対策として、汗や汚れは早めに落として皮膚を清潔に保ちましょう。その場合洗いすぎには注意。刺激の少ない石けんやシャンブーを使い、ぬるめの湯でやさしく洗うようにしましょう。ゴシゴシ洗いは厳禁ですこすると皮膚を痛めます。入浴後は、肌を乾燥から守るためにワセリンや保湿クリームなどを塗りましょう。かゆみがないときもケアを続けるのが大事です。また、これからの季節、室内でエアコンなどの暖房器具を使う際は加湿して、肌が乾燥しないように気を付けましょう。
中医学から見た乾燥肌
中医学では、乾燥肌は「血虚(けっきょ)」=「血(けつ)」が不足している体質が引き金であると考えます。血が不足することで全身に栄養が行き届かなくなり、肌も栄養不足となるため、皮脂の分泌が低下し、肌内部の水分が保てなくなった結果、乾燥肌が起こります。
乾燥肌に効果的な漢方薬
- 四物湯(しもつとう)
「血虚」の代表的な漢方薬です。「補血=血を補う」「活血=血のめぐりをよくする」という薬効をもつ4つの生薬、ジュクジオウ・シャクヤク・センキュウ・トウキが配合されており、不足した血を補いながら巡りをよくする効能があります。肌に栄養を届け、保水力を回復させる効果も期待できるため、乾燥肌の改善に有効だと考えられています。
- 当帰飲子(トウキインシ)
「四物湯」に、皮膚のバリア機能を高める「黄耆(おうぎ)」やかゆみを止める生薬が入っています。「血」と「気」を補うことで、肌に栄養と潤いを与え、肌の乾きやかゆみの改善が期待できます。冷え性の改善にも効果的で、皮脂欠乏性湿疹や老人性皮膚掻痒症に用いられることが多いです。カサカサと乾燥した肌に適していて、ジュクジュクした症状や赤味のある湿疹には使えません。
- 温清飲(ウンセイイン)
「四物湯」に、清熱解毒の代表処方「黄連解毒湯」が合わさったものです。血虚と血熱を同時に治す作用があり、皮膚に熱感がある、赤い湿疹、風呂上りや酒で赤くなる、といった症状がみられる方に良いです。月経不順や月経困難、更年期障害のある方にもおすすめです。かゆみがあり、ジュクジュクと湿潤している状態に使えます。
- 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
十全大補湯は「四物湯」に気を補う「四君子湯」が合わさったものです。皮膚症状用の主たる方剤ではありませんが、胃腸虚弱と栄養不足に伴う皮膚の乾燥やかゆみに効果があります。「気」「血」「水」の3つを補い、全身状態をよくするので、胃腸の調子が悪く栄養不足や貧血傾向があり、手足に冷たさを伴う乾燥肌の方に良いです。
まとめ
皮膚掻痒症は、皮脂の欠乏、発汗の低下などが合わさって生じる皮膚の病気で、これからの季節に特有の乾いた外気で悪化します。皮膚は乾燥して粉が吹いて、白っぽくなっていることが多く、掻いたあとが赤くなり、掻き壊すことで血がにじんだり、色素沈着が起こったりすることもあります。
治療は皮膚の乾燥を防ぐため、保湿剤を塗る治療が主体となります。かゆみを止める内服薬を使うこともありますが、効果が十分でないこともあります。ぜひ、症状の改善に加え体質を変えるという側面からも、漢方薬を試していただきたい病気の代表です。みなさまも、ぜひしっかりとした肌のお手入れとともに、かゆみが強い場合は、体質に合った漢方薬を試してくださいね~(^^)/