舌でカラダの状態を知る

先日、大学時代の友達と函館に行ってきました。彼女との二人での旅行はアンコールワット以来7年ぶり。コロナでなかなか会うこともできなかったのですが、会ったらすっかり気分は女子大生に(^_-)-☆キャーキャー言いながら函館を楽しんできました♪

でもやっぱり50代、おしゃべりの内容は恋の悩みよりは体の悩みになります（^ ^ ; ）のぼせがあるという彼女、何かいい漢方はないか、とのことで、舌を見せてもらい考えることにしました。

舌を見ると、中医学的にいろいろなことがわかります。さて、今回は中医学の特徴である「舌診（ぜつしん）」についてお伝えしますね～

舌診

中医学では、次の４つの診察方法で体の情報を集めます。

舌質

舌本体のことで、色や形などを見ます。

①色

• 赤っぽい

体に熱がある状態。心身の過労、睡眠不足などによって、慢性的な体液不足＝陰虚がおこった状態。また高体温による血管の拡張や発熱によっても赤くなる。
先端が赤っぽい時は心火上炎。不眠の時によく見られます

• 青っぽい

体が冷えている

• 白っぽい

血液が不足＝血虚が起こっている

• 紫っぽい

血の巡りが悪い＝瘀血が起こっている。舌下静脈（下の裏の脈）が紫色の場合が多い

②形

• 大きくはれぼったい

エネルギー不足＝気虚。胃腸が弱い人に多い。
舌の横側に歯の痕が付いている場合もあり、脾気虚がある状態です。

• 薄くて小さい

やせていて体力がない、血が不足している人に多い。

• 表面に亀裂がある（裂紋）

体のうるおいが不足している

舌苔

舌の表面の苔のことで、質感と色を見ます。

①色

• 白苔

白くて薄い苔は正常な状態。厚くなると、消化不良や体に余分な水分がたまっている状態

• 黄苔

体に熱があることを表す。熱が強くなると、色が濃くなり、やがて灰色→黒色に変化する

②質感

• 厚さが薄い（薄苔）

白い舌苔が薄く均等に付着しているのが正常な状態。

• 表面が見えないほど厚い（厚苔）

体内に余分な水分がたまっている。

• ネバネバとしてなかなかとれない苔（膩苔）

消化器系の機能が弱っていて、体内に水分が滞っている。

• 豆腐のカス状の剥がれやすい苔（腐苔）

食べ過ぎ、飲み過ぎからくる胃腸障害のことが多い。

• 舌がまだら（地図状苔）

地図上に苔が剥げている場合は、体のうるおい不足。アレルギー体質のこともある。

• 苔が非常に少ない、または無い

老化、過労により、体液が消耗した状態。体のうるおいが不足している

まとめ

お友達の舌をせっかく見せてもらったので、結果をまとめると…

診断

舌質はどちらかといえば赤く、表面に亀裂がありました。これから、のぼせを感じるという言葉通り、体に熱を持っていて、体の潤いが不足していることがわかります。烈紋があることから、感染症などによる実熱、ではなく、潤い不足からくる虚熱、腎陰虚と診断できます。

そして、苔の状態は、やや厚めで、少し黄色味を帯びていました。食べ過ぎなどにより、消化機能に負担がかかっている可能性があります。もともと体に熱を持っていることから、やや黄色を呈していると思われます。

処方

まずは、消化機能を助けるために、晶三仙を食べ過ぎになりそうな時に食事の前に飲んでもらうようにしました。もちろん、旅行から帰ったら、しばらくは脂っこいものや甘味の強いものは控えめにして、脾胃をいたわるように、そしてのどが渇いてよく水分を摂るとのことなので、冷たいものは控えて常温のものを摂るように伝えました。
陰虚の改善には六味丸（ろくみがん）ツムラを基本とした薬がいいのかなと思います。できれば、舌の赤みが取れるまでは、六味丸に体の熱を摂る知母（ちも）と黄柏（おうばく）が入った知柏地黄丸（ちばくじおうがん）、熱が落ち着いたら、六味丸に菊花（きくか）と枸杞子（くこし）の入った杞菊地黄丸（こぎくじおうがん）を、疲れ目も気になるという彼女にぜひ続けて飲んでほしいと思いました。

さて、私の舌も、苔がいつもより厚めでした。明らかな食べ過ぎ飲み過ぎと思われます…晶三仙を飲んで、しばらくは消化のいいものを食べるようにしたいと思います。

舌の状態は毎日変わります。睡眠不足の時は、舌の先っぽが赤くなっていたり、肩こりがひどいなあと思うと、舌の裏の静脈が紫色になっていたり。観察を続けると、体の状態がよくわかって面白いですよ！皆様もぜひ、一度舌チェックしてみてくださいね～(^^)/