相談⑥逆流性食道炎

逆流性食道炎 イラスト に対する画像結果

先日、久しぶりに風邪をひきかけた、という話をしましたが、その後特に悪化することなく、のどの痛みは2日くらい、咳は3日くらいですっかり良くなりました(^^♪やばい!とやや焦りましたが、やっぱり早めの漢方薬はとっても効果的。ますます漢方薬のファンになりました💛でも、油断は大敵、引き続き乾燥対策に気を付けていきたいと思います。

さて、今日は全く別のお話です(^^♪
昨日来局された患者さんから、薬の相談を受けました。
かかりつけ医から、血圧や骨の薬を出されているが、胃腸科からもどっさり薬が出ている。何とか薬を減らしたいので、かかりつけ医に相談したら、胃腸科の薬は1種類だけにしていいと言われたが、これで大丈夫?というもの。
今回はこの症例を紹介しますね~

患者様70代女性。細見。
食欲はあまりないほうで、もともと胃が弱い。食べ過ぎるとすぐもたれてしまう。疲れやすい。睡眠はふつう。お通じも普通。血圧がやや高めで、降圧剤1種類、骨粗しょう症の薬種類服用中。
胃腸科では、逆流性食道炎と診断され、ランソプラゾール(胃酸分泌抑制)が処方。胃もたれもあるとのことで、ガスモチン(胃腸の運動を活発にする薬)、ムコスタ(胃粘膜保護)、アコファイド(機能性ディスペプシアの薬)、六君子湯が処方されています。
かかりつけ医からは、逆流性食道炎の薬だけ服用を続けて、今、胃の調子が良いなら他はやめていいと言われたそうです。

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流すると、食道の粘膜は胃酸に対し弱いため食道に炎症を起こすようになります。高齢者に多くみられます。

原因

食道と胃のつなぎ目に下部食道括約筋という筋肉があり、食物が通過するとき以外は胃の入り口を締めて胃の内容物が食道に逆流しないように働いています。この筋肉が緩むと胃から食道への逆流が起こるようになります。加齢による変化、胃内圧の上昇(食べ過ぎ、早食いなど)、腹圧の上昇(肥満、衣服による締め付けなど)、高脂肪食などが緩みの原因です。

症状

胸が焼ける感じ、酸っぱいものが上がってくる、食後に胸やみぞおちのあたりが痛いなどの症状があります。その他、のどの違和感、声のかすれ、慢性の咳(肺や心臓に異常がないのに咳が続く)などがあります。

治療

胃酸を抑える薬(主にプロトンポンプ阻害薬:PPI)を投与します。効果が不十分な場合には、胃の運動を改善する薬や、酸を中和する制酸薬(水剤)を併用することがあります。

中医学から見た逆流性食道炎

中医学では逆流性食道炎は「脾胃(ひい)」の働きが弱くなることで引き起こされると考えられています。胃は食べものを食道から受けとり、腸へと運ぶ働きがありますが、その機能が低下すると胃酸が上がりやすくなります。ストレスは胃腸の働きをスムーズにする「肝」の働きに影響しやすくなり、症状を悪化させる一因となります。

今回の患者様は、典型的な脾気虚。服用中の六君子湯は、脾気虚に対するとても良い薬なので、続けるようお勧めしました。

六君子湯

脾気虚=胃腸機能低下を改善する処方として代表的な薬です。「四君子湯(人参、白朮、伏苓、甘草)」に「二陳湯(陳皮、半夏)」を加えて、六君子湯となります。胃腸の機能回復(四君子湯)作用と脾胃の機能が落ちて出来た痰を除く作用(二陳)を併せ持った処方です。
併せて、生活養生もお伝えしました。

生活上の注意点

・寝る3時間前には食事を済ませておきましょう
・高脂肪食を避け、消化のよいものをとりましょう
・コーヒーやアルコールなどの刺激物を避けましょう
・脾胃を冷やす冷たいものは避けましょう
・ストレスをうまく発散しましょう
・腹部を締め付けるベルトや下着は避けましょう

まとめ

六君子湯1種類で、胃酸分泌以外の西洋薬の働きをカバーできそうですね。ランソプラゾールなどPPIは、不眠症や認知症との関連も指摘されているので、体の負担を考えれば、六君子湯でさらに調子よくなってきたら、ランソプラゾールも減らす方向にもっていきたいところです。もちろん、食事生活養生は基本中の基本。皆様も、体に合う漢方薬を使うことで上手にバランスを整えていきましょうね~(^^)/

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